殺人はいけない、そんなことはわかっていると人はいいます。しかし、本当にわかっているでしょうか。魚や動物を殺していながら、なぜ人間を殺してはいけないのでしょうか。
「殺してはならない」、この戒めはモーセの十戒のうち六番目の戒めです。しかし、十戒には前文がついています。「私は、あなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である」(出エジプト20章2節)。この前文が戒めを理解する上で非常に大切です。
イスラエルの人たちはあの奴隷状態、つまり人間が動物のように扱われ、虫ケラのように扱われる状況から解放されたのです。福音は喜びのおとずれ。いつも喜びが先立ちます。神から開放されたのだから、神からいただいた一人ひとりの命を尊重し、大切にしていく、これが十戒の意味です。
今日の福音で、イエス様は旧約のこの戒めのもっと深い意味を教えてくれます。人間はただ肉体だけではなく、身も心もすべてが「神のかたち」につくられた。愛し合う存在、対話する存在としてつくられた。だから、隣人の中にある「神のかたち」に気づいて、隣人を「あなた」と呼び、兄弟姉妹として向き合う必要があるのです。
兄弟姉妹に対して「馬鹿」呼ばわり、「愚か者」呼ばわりすることがどうしてまずいことなのか、十戒の前文から読み取っていきたいものです。
Joseph.M.M