イエスのうわさを聞いたヘロデの反応について。マルコとマタイではそのうわさの人はヨハネだとヘロデは確信しています。それはその人が奇跡を行なうことができるのは死者の中から復活したからだと述べています。
マルコとマタイは洗礼者ヨハネの死刑の話を掲載しています。両者ともヘロデのイエスに対しての態度は、憎んではいるけれどもその反面ヨハネの正しさを認めているというものでした。けれども、ルカはヘロデが戸惑った、そして会ってみたいと思ったとしています。さらにイエスの受難の際、ピラトの尋問の後、ヘロデの尋問があったとするのはルカだけです。ヘロデは何も答えないイエスに失望し、侮辱したと記されています。ルカだけはヘロデとイエスの距離をとることを意識しているようです。
このヘロデの後の領主ヘロデ・アグリッパ1世はキリストの弟子たちを迫害し、ヤコブを殺害しました。ヘロデ(ヘロデ家)とイエス(イエスの弟子たち)とは相容れない関係にあります。相容れない原因として、ルカはヘロデ王にとってイエスは好奇心の対象に過ぎないことを主張しているように見えます。
相手に興味を持っただけや好奇心を抱いたくらいで互いに関わりあいがあるとはいえません。誰かと何らかのつながりや関係を持つためには相手に対して尊敬の気持ちを持ち、存在を認めないかぎり通じ合うことはないものです。
T.K